脳の科学から身体性の科学へ -リハビリテーション医療の進むべき道-

 

講義内容

「私の身体のように思えません」「思ったように(この身体が)動きません」といった自己の意識経験は,患者の病態を示す発見的データであることは間違いありません.大なり小なり,脳卒中患者はこうした意識経験を有しています.

身体性は,Gallagher(2000)によって「自分の身体が自分のものであるという所有の意識(身体所有感)と「この自分の運動を実現させているのは自分自身であるという主体の意識(行為・運動主体感)」に区別されました.

また,Gallagherは自己意識を身体性の観点から,minimal self(原始的自己)とnarrative self(物語的自己)にも分けました.

本講演では,脳卒中後に起こる身体性変容の病態(運動麻痺,学習性不使用,高次脳機能障 害,疼痛)あるいは運動器疾患後に起こる病態(異常知覚,疼痛)のメカニズムについて自験データを含めて説明し,身体性の科学の視点から,これからのリハビリテーション医療の進むべき道を提案します.

 

講師

講 師:森岡 周 先生 (畿央大学 教授)

【学歴・職歴】

1992 年 医療法人近森会 近森リハビリテーション病院 理学療法士

1997 年 フランス国立サンタンヌ病院 留学

2001 年 高知大学大学院教育学研究科修士課程 修了 修士(教育学)

2004 年 高知医科大学大学院医学系研究科博士課程神経科学系専攻 特例早期修了 博士(医学)

2004 年 畿央大学健康科学部 専任講師

2005 年 同 助教授

2007 年 同 教授,同 大学院健康科学研究科 主任・教授 現在に至る

2013 年 同 ニューロリハビリテーション研究センター センター長 現在に至る

2014 年 首都大学東京大学院 人間健康科学研究科 客員教授 現在に至る

【受賞歴】

第38 回 日本理学療法学術大会 学術奨励賞(2004年)

第17 回 理学療法ジャーナル賞 医学書院(2006年)

社団法人奈良県理学療法士会 学術奨励会長賞(2007年)

第52回 日本理学療法学術大会 最優秀賞(2018年)、他多数

【主な社会・学会活動】

一般社団法人 日本ペインリハビリテーション学会 副理事長

一般社団法人 日本運動器疼痛学会 代議員

独立行政法人 日本学術振興会科学研究費委員会 専門委員 歴任

文部科学省 科学研究費新学術領域研究「脳内身体表現の変容機構の理解と制御」C03領域 研究代表者

【著書(単著・編著を中心に記載)】

リハビリテーションのための脳・神経科学入門(第2版)(協同医書出版社)

リハビリテーションのための認知神経科学入門(協同医書出版社)

リハビリテーションのための神経生物学入門(協同医書出版社)

脳を学ぶ -「ひと」とその社会がわかる生物学-(協同医書出版社)

身体運動学-知覚・認知からのメッセージ-(三輪書店)

理学療法MOOK16 脳科学と理学療法(三輪書店)

ペインリハビリテーション(三輪書店)

イメージの科学-リハビリテーションへの応用に向けて−(三輪書店)

機能障害科学入門(神陵文庫)

標準理学療法学 神経理学療法学 第2版(医学書院)

発達を学ぶ −人間発達学レクチャー(協同医書出版社)、

コミュニケーションを学ぶ(協同医書出版社)

身体性システムとリハビリテーション科学(東京大学出版会)、他分担執筆多数

【学術論文】

英文原著95編(査読あり)、和文原著101編(査読あり)、総説・解説96編(依頼原稿)

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